上映時間3時間と聞くと最近は劇場での鑑賞はほぼパス。
しかしジャン=ポール・ベルモンド主演の未見の作品と聞けば話は別。
本作はベルモンド傑作選第4弾グランド・フィナーレのトリの作品。
耐久時間ギリセーフ。劇場で観れて正解。
「レ・ミゼラブル」で検索すると同名タイトルが軽く10本を越える中、本作は原作を忠実になぞった映画化とは一味違います。
脚本・監督は『愛と悲しみのボレロ』のクロード・ルルーシュですから、『レ・ミゼラブル』の有名なシークエンスを織り込んだ親子二代の堂々たる大河ドラマに仕上がっています。
舞台は原作のナポレオン時代ではなく20世紀前半のフランス。
第一次大戦と第二次大戦を背景に文盲の主人公アンリ(ベルモンド)は自分の境遇にも似た『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンの物語を聞いて魅せられていきます・・・
ルルーシュは先週観た『ライオンと呼ばれた男』に次いでベルモンドとは3本目のタッグ。
音楽も同じくルルーシュの相棒フランシス・レイ。
本作はこの年のゴールデングローブ賞外国語映画賞をはじめ、いくつもの賞を受賞。
オープニングは初老のベルモンド(当時62歳)の苦渋に満ちた表情のアップ。
本作のベルモンドは主人公の親子二代と劇中のジャン・バルジャンの一人三役。
フランスの国民的アクション・スターというよりは大御所ベテラン・アクターとしてのベルモンドを堪能できます。
二代目がボクサー上がりのキャラというのはベルモンド本人の歴史とも重なります。
若きボクサー時代のベルモンド役は『ライオンと~』のときと同じく実子で当時はレーサーだったポール・ベルモンド(当時32歳)。目のあたりが似てますね。
同じくルルーシュ監督の『あの愛をふたたび』でもベルモンドと共演したアニー・ジラルド(当時63歳)が本作では鬼気迫る演技でセザール賞助演女優賞を受賞しています。
子供時代の主人公が見ていたモノクロの『レ・ミゼラブル』らしき映画に出ていたのはジャン・ギャバンかと思ったらギャバン主演の『レ・ミゼラブル』(1958)はカラーだし時代も合わないから別の映画ということでしょうか?
ジャン・バルジャン役はTV映画ではヴァンチュラやドパルデューも演じているようです。