B姐さん

乱暴者のB姐さんのレビュー・感想・評価

乱暴者(1952年製作の映画)
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マーロン・ブランドがすかして、イキりながらバイクに乗っている映画ではない。あちらは「あばれもの」で、こちらは「らんぼうもの」。
その「乱暴者」が、低所得者の住民が住む集合住宅の「立ち退き屋」として地主から雇われたところからドラマがはじまる。

いわゆる「社会性」のあるものとか、「メロドラマ」としても観れるが、そういった通俗性を回避するのがこの作家の特色かもしれない。
脚本もいいが、重層的なこの物語をさばく演出は、とても「深い」映画を撮っているように見えない。だからこそ、「深い」ともいえる。まあ、「深い」映画っていうのもよくわからないが(それに「深い」テーマと「深い」作劇っていうのがあると思うし、違う次元のはなしだと思うんだがな。まあそのへんのことはよくわからん)。

登場人物たちを各々対称化させ、(役割としての)立場を逆転させるという作劇は多々あるが、それを「死」を通して見せる皮肉と残酷性、そして女性が絡む時、いきなりフィルムが艶っぽくなるところに自然と唸る。お菓子をねだり、息子の嫁の指で酒を舐める「おじいちゃん」の描き方は最高という言葉しかない。「鷄」と「肉」がまたモチーフとして出てきて、これにはちょっと笑った。

変に「深い」映画を求めるひとや、「御都合主義」を悪とみなし過敏になる方、そして「共感」できる登場人物がいないと“映画自体”が駄目になるという星からきた星人さんにはオススメしないが、80分弱でこの映画世界を切り取る手腕を観たい方にはオススメしたい。
でもこのDVDって廃盤なんだよね、、、、、。
B姐さん

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