みはしゅん

風と共に去りぬのみはしゅんのレビュー・感想・評価

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)
4.2
【劇場鑑賞記録】
午前十時の映画祭にて初鑑賞。いやーこれが名作というやつか。4時間という上映時間でありながら観客を全く飽きさせないストーリーと圧倒的な演技。The 映画。

今作は途中に休憩が入るスタイル。つまり前編・後編で物語が進んでいく。前後編で全く違う映画のように進んでいく。

前半は激動の南北戦争時代を豪華なセットでリアルに描いていく。アトランタの大火災のシーン、そして駅前の死体だらけのシーン。スクリーンいっぱいに広がる炎と死体。規模がすごい。これ80年前だぞ?

後半はドロドロの昼ドラのよう。再び富を手に入れたスカーレットの人生が丁寧に描かれている。

当時で400万ドル近い制作費を投じて作られた今作。前後編で違う映画のよう。言うなればタイタニック。

前後編において共通するのは、なんといっても役者たちの名演だろう。

主役のスカーレットを演じたヴィヴィアンリー。その圧倒的な美しさの中に潜む熱い情熱。男を手玉にとるしたたかさ、その一方アシュレーへの熱い好意も。

近年のハリウッドに見られる強い女性像はここから来ているのだろうか。故郷タラ、家族のためならどんな手段を使うという芯の強さ。

だけどこれを女性側から観ると大分印象は変わってくるんだろうな。言うなればクソ悪女ビッチ。まぁ当時の時代背景や文化の違いもあるだろう。一番かわいそうなのは次々に婚約者を奪われた彼女の妹たちだからね。

そして馬さばきがうまいうまい。当時の俳優さんたちってみんな馬に乗るのがうまいよね。ダジャレじゃないよ。

特に後半においては徐々にレットへの愛に気づいていく姿が印象的。旅行から帰ってきたレットを観た時の自然な笑顔。あれが彼女の本当の愛だったのだろう。

そのように強く、なおかつ幼さも感じられるスカーレットを実に魅力的に演じたヴィヴィアンリーの演技は、永遠に語り継がれていくことだろう。

そしてレット役のクラークゲーブル。かっけぇ。ちょっとスカしたエセ紳士のようだが、実はスカーレットや娘のボニーを心から愛する真の紳士。男として憧れる。

もう1人。アシュレーの妻メラニーを演じたオリヴィアデハヴィラント。スカーレット並みに美しい。かつ誰よりも優しく、スカーレットを信じ感謝を忘れない。

体は弱くても心はスカーレットに負けないくらい強いものを持っている。夫を取られても義理の姉を信じ続けたその心。まさに天使。

実はまだこのデハヴィラントさんまだご存命らしい。御歳102歳。ほらやっぱり天使だったみたいだ。

こんな最高の妻を持ってしてまでスカーレットに手を出したアシュレー。どうも好きになれない。なにもかも中途半端だしなんだか煮え切らない。男らしさがない。ケツを叩きたくなる。

歴史的名画には歴史的な名演技が付き物。それは前回鑑賞したゴッドファーザーで学習済み。こういうの観ちゃうとジャ◯ーズが主演の邦画なんて絶対に観る気にならないね。

忘れそうになるが、これは丁度80年前に作られた映画だ。それなのにこんなに熱くレビューが書けてしまう。時代を超えて愛される映画こそが"名作"なのだろう。

"After all, tomorrow is another day."
(結局、明日は違う一日なのだから)

色褪せない名セリフ。

だけど明日も同じように映画を観るよ。
みはしゅん

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