優しいアロエ

風と共に去りぬの優しいアロエのレビュー・感想・評価

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)
3.4
 激動の南北戦争時代を生きたスカーレット・オハラ。直感的で行動力を備えた女性像は、昨今の映画と比べてもなかなか新鮮味があった。

 しかし、個人的にはスカオハもバトラーもうひとつ共感のできないキャラクターであり、4時間弱のお付き合いは結構堪えた。共感できなかった理由としては、妹の夫を奪ったりなど極端な行動が鼻についたのもあるのだが、何よりスカオハたちが奴隷制度の上に生きている人間であったことだろう。

 本作は南部の上流階級を描いた作品であるため、たくさんの黒人が奴隷として登場するのだが、その多くが純真さを強調した造形で、作為的なものを感じた。なんであのメイドはああまで声が高かったのか、訝しまざるを得ない。また、結局スカオハの自由奔放なアクションもこの奴隷制度のおかげで成立していたものであるから、そこに時代的なギャップを感じてしまった。

 戦火のなかを逃げるところや夕陽をバックにした熱情的なキスシーンなど、撮影の美しさが光るところもあるが、後半からは失速気味なのが残念。前後半で監督が変わったのもなんとなくわかる。
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