ざきを

風と共に去りぬのざきをのレビュー・感想・評価

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)
5.0
「この映画は恋愛映画じゃない、私は1人の女性の生き様だと思ってる」
鑑賞前の母のこの一言がなかったら、私はただのスカーレットの恋愛模様を描いた作品だと受け取っただろう。
これは恋愛映画とは違う、確かに1人の女性の生き様の映画だった。

はっきり言ってスカーレットを好きな人なんて皆無だろう。お金と美貌に物を言わせて、男を侍らせ、どっちつかずの態度をとり男を振り回す。わがままで身勝手で、素直じゃないし、自分の欲しいものはなんとしてでも手に入れたいと強欲。こんな主人公に感情移入なんかできるわけないだろう。

戦争を経験し、家族をなくすことを経験し、飢え、どんなことをしてでも生き抜いていく術を身につけていく。なぜだか、観ているうちに、嫌いなのに彼女の諦めない心を持つ逞しさに尊敬を抱いてしまう。彼女の強い生き方に憧れを感じる。私は少なくともその1人だ。名作と言われる理由がわかる。どんな時代でも強く逞しい人間が生き残る。自分のことを嫌いな人がいたっていいじゃないか、人生の選択の失敗を何度も経験することで、人は強く成長していく。諦めない心は人を救う。

また主題曲「Tara’s theme」も素晴らしい。
この主題曲には、ジョージア州の土地に夢を馳せる人々の、大いなる希望を感じる。朝日や夕日を背景にスカーレットが大いなる決意をする瞬間にこれほどにまで合っている曲はないだろう。本当にかっこいい、壮大な曲だ。

最近この映画は黒人差別的で、動物には厳しく、現代には合わない作品だと言われている。確かにそうだし、かなり脚色してる部分もある。だが、これは映画だろ?
差別は恥ずべき文化だ、だからといって、昔の映画が差別的だからといって上映やダウンロード禁止されていいのだろうか?映画は恥ずべきものなのか?純粋に楽しんではいけないのか?
この映画は恥ずべき文化なんかじゃない、素晴らしい作品だ。映画を通して過去の負を伝えてもいいじゃないか、歴史を知ることで人は過ちを犯さなくなるのだから。多くの人々が観て、多くの人々がスカーレットの強さを目にし、差別は悪しき文化であると認識すればいいのではないか?映画はメッセージを伝える一つの手段。この時代でなければ作れなかった作品はある。残すべき作品は残していかなければならないと強く願う。

昔の映画はやっぱりいい。
そして私の母のおすすめは間違いない。
ざきを

ざきを