April01

風と共に去りぬのApril01のレビュー・感想・評価

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)
4.5
主人公スカーレット、レット・バトラーに惹かれるキッカケが2回あって1つはキス、1つは夜の営みであり、体で感じたことがそのまま気持ちにつながる正直な女性。大人の世界を知らないまま原作を読んだ時に一番感じたのは、そういう肉体でつながる気持ちの強さへの驚き。乙女ながら夢中であっという間に読み終えた時のことは忘れられない。レットへの気持ちが愛に転じるのは精神面の話ではあるけれど、フィジカルな関係がその気持ちに気づく契機になっていて、まさに肉体と精神はつながっている。

だからこそ、スカーレットにとって、レットとアシュレーが途中からまったく違うカテゴリーの人間になるのがとてもリアル。

異性に対する思い込み、というのも感じる。自分はこういうタイプが好きと思い込んで、相手を理想の人と考え幻想を抱く。思い込みだからもちろんプラトニック。そして時代が変わり時は流れ、その時の現実の生活の中で自分にとって必要となる相手を見つけ、ある日ふと振り返った時、あの時あれほど夢中になっていた彼は全く自分に合う人ではなかったと気づく。
原作も映画もそういうリアルな女心を思い出させてくれる。

レットの売春宿での遊びといい、売春婦とのやり取りといい、かなりキワドく、あからさまな大人向けの毒を持った作品でもある。
文学的価値を云々する名作であることを論じる以前に、色んな女の姿が当時としては信じられないくらい大胆に描かれている点が印象深い。

その世界を実写版として再現したヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル、オリヴィア・デ・ハヴィランド等々、名優の力技にも恐れ入る。

元々色んな批評がある作品で、政治的な問題点に無頓着というわけではないけれど、シンプルに自分が乙女な頃に原作を読んだ時の感想から自分の評価は全く変わらず、女性の物語としてとても興味深く未だに惹かれ続けている、それが正直な気持ちだから仕方ない。
April01

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