福福吉吉

ライトスタッフの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ライトスタッフ(1983年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
第二次大戦後のアメリカのエドワーズ空軍基地ではパイロットたちが集って世界最速記録に挑戦を続けていた。しかし、1957年、ソ連が世界初の人工衛星打ち上げに成功したことからアメリカで宇宙進出が至上命題になり、政府は軍から宇宙飛行士を選抜して宇宙に送り出す計画を実行する。

◆感想◆
アメリカの最初の宇宙進出プロジェクト「マーキュリー」計画に参加したパイロットたちの姿と、戦闘機で世界最速記録にずっと挑戦し続けたパイロットの姿を併せて描いた作品となっており、計画に参加したパイロットたちに降りかかる有象無象の難題や国家的な重圧が分かるようになっていて、パイロットやその家族の絆が印象的でした。

ストーリー序盤は音速の壁に挑み続けるパイロットたちに焦点を当てて、その中でチャック・イエガー(サム・シェパード)が音速の壁を突破して、パイロットたちの中で抜きんでた人物として描かれます。当然のことながら命の危険を伴う挑戦であったにも関わらず、イエガーは構わず挑戦し続けていて、彼の向こう見ずな性格がよく表れていました。

しかし、ソ連の人工衛星打ち上げ成功により、アメリカは宇宙進出に後れをとったことを実感し、パイロットたちは宇宙飛行士に駆り出されることになります。戦闘機の世界最速記録への挑戦に挑む者はイエガー一人になるのですが、それでも継続したところに彼のこだわりを感じました。

一方、宇宙飛行士になった7人のパイロットたちには過酷なトレーニングとともに世間の好奇の目に晒され、パイロットとその家族に重圧がかかるようになります。ロケット開発において失敗を続けるNASAとともに彼らの存在価値が問われているようで、観ていて苦しさを感じました。それでも、7人のパイロットたちの間には次第に仲間意識が強くなっていて、政府の要望に対しても団結して対応するようになっていく姿は観ていて微笑ましく感じました。

本作はアメリカが宇宙進出を図る中で政府の焦燥感、宇宙飛行士という職務に対する手探り感、異常なまでに報道するマスコミなど初めて尽くしのおっかなさがよく出ていて面白い作品でした。これがアポロ計画に繋がっていったことを考えると大きな一歩だったことが分かりました。

鑑賞日:2025年3月16日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2024年2月26日)
福福吉吉

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