Yoshishun

雨に唄えばのYoshishunのレビュー・感想・評価

雨に唄えば(1952年製作の映画)
4.3
※2800Mark目達成!いつも拙いレビューを読んでいただきありがとうございます~😃



"破壊と暴力とセックスを締め括る名曲"

オールタイムマイベストの上位10作には食い込むスタンリー・キューブリックの名作『時計じかけのオレンジ』。
劇中でアレックスがバイオレンスの最中歌唱し、EDにも流れるのが本作の主題歌ともいえる"Singin in the rain"だ。
前々から気になっていたが、アマプラにて配信中だったのでようやく鑑賞。

まず、さすが50年代ハリウッド黄金期を代表する傑作だけある。初登場時からサイレント映画期、特にバスター・キートン、近年でいうトム・クルーズのようなスタントで魅せるジーン・ケリーが強すぎる。歌って踊れる、おまけに美女をも手にするプレイボーイっぷりも笑える。
加えて、1歳から舞台に立ち続けたというドナルド・オコナーも、さすが舞台出身というだけあって、音楽に合わせて体を動かす仕草一つ一つがコミカルで面白い。段々狂気じみた動きになっていくのも見逃せない。「笑わせろ」といいながらアクロバティックにダンスするシーンに彼の魅力が集約されているように思う。

ストーリーとしては、2012年公開の『アーティスト』と同じく、サイレント映画期となる1920年代が舞台であり、トーキー映画の登場により、制作中のサイレント映画を突如トーキー映画に変更になるドタバタ劇となっている。サイレント映画の大女優リナの地声は恐ろしいほどにハスキーであり、トーキー映画では通用しない代物。そんな彼女の悪声を隠すべく、舞台女優であるキャシーが彼女の吹替を担当する。あの手この手でキャシーを陥れようとするリナは、地位と名声を手にした権力者そのもの。対するキャシーは舞台女優というだけあり、映画もロクに観たことのない素人。しかし、歌の才能に恵まれ、ジーン・ケリー演じるドンとのロマンスにも興じていく。

ハリウッドサイレント映画期に突如起こったトーキー映画ブーム。『ジャズ・シンガー』の完成度の高さから火付け役になり、時代はトーキーへと変遷していった(チャップリン等、意地でもサイレントに拘った映画人もいるが)。サイレントからトーキーに切り替える動きは実際に起こり、本作でも商業目的や消費者の需要のために急遽吹替を用意していた。サイレント映画ならではの裏側でのドタバタは、まさに時代を撮したものとなっている。

あまりに凄すぎるダンスシーンが何度も繰り返されるので、何故かミュージカル場面後に疲労感を覚えなくもない。また、コミカルさを売りにしすぎていてラストのリナの境遇が不遇すぎる気がしてしまった。しかし、そんなマイナス面も補う程にミュージカル映画として完成されすぎている。

個人的には、ラストでリナをボコりつつ強姦、そして主題歌という流れに持ってきたら完璧だった。ここぞというタイミングでドルーグらが参戦してこないかソワソワした。

……いや、無理か。
Yoshishun

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