たにたに

雨に唄えばのたにたにのレビュー・感想・評価

雨に唄えば(1952年製作の映画)
4.8
【ジーンケリー&ドナルドオコナーという、とんでもないミュージカルスター】

🟢トーキー映画の革命が!
無声映画が主流の中、人気俳優ドンとリナは人々の憧れであった。
そんな中、初のトーキー映画「ジャズシンガー」が公開され、大成功を収めていた。
彼らを含む製作者達は驚嘆し、自分たちも
トーキー映画を作るために奮闘するも、ひとつ問題があった。
それは、大女優リナの"声"である。
見た目によらず、耳に障る甲高い声。
んー、確かにズボラというか、うるさいと感じてしまうような声。

そして、もう一つドンにとって人生の転機となる出会いが。
駆け出しの女優キャシーとの出会い。

彼女は
無声映画は、台詞のない、意味のないものとし、
トーキー映画は、俳優の嘘のない感情を表現できている。
というのだ。

確かに、無声映画は、役者の演技途中で字幕がドンと映し出され、たしかに興醒めな部分が。
チャップリンのような映画を、揶揄してはいないでしょう。
時のスターがセリフも発しないで、みんなの憧れの俳優として豪遊しているのが気にくわないのはわかります。


🟢卓越したダンススキル
ジーンケリーはこれぞ銀幕のスターといった風貌。スーツを着こなし、女性をリードする姿はダンディズム。
それなのにダンスはとても豪快で、しかし
ブレがない。

ドナルドオコナーは、まさに喜劇王。
表情も豊かで、底無しの体力をもっているんじゃないかと言わんばかりの感情を表すダンス。身体能力の良さが伺える。

通して、タップダンス。
軽々とリズミカルにステップを踏む彼らのプロ意思がハンパなくて、常に笑顔で疲れた表情も見せず、難しいダンスをこなしている。
踊るのが好きなんだろうなっと感じました。



🟢雨に唄えば
ドンが大人気なくも、傘を差さず、ずぶ濡れになりながら雨の中歌い踊る。
超有名シーン。

雨に濡れてしまうのが、好きな大人はそうもいないだろう。
どうして彼は、こんなにも嬉しそうにしているのでしょうか。


一つ、
初号で失敗したトーキー映画。
このままでは、俳優人生に泥を塗ることになる。
それを仲間と話し合って、ミュージカルにしてしまう、という最高の案が生まれたこと。

一つ、
キャシーの才能を世に広めるチャンスが出来たこと。

一つ、
悲しみの雨が、恵みの雨に変わった感覚だった。その雨に打たれて子供に戻ったような新鮮な、そして高揚感を得たから。


「雨に唄えば」、そこには輝かしい未来が待っていた。ということですね。

雨ってどこかネガティブなイメージです。ですが、
彼はそんなものさえポジティブに捉え、
雨が地面を打ちつける音、水溜りを蹴飛ばす音。
無声映画から音のある世界を自分の声で、体で、表現できる喜びを感じて、雨ってこんなにも素敵な音なんだ!とそんなようにも見えました。


今のミュージカルに通ずるものだらけ。
素敵な映画です。
たにたに

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