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男はつらいよ 柴又慕情のnanaのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 柴又慕情(1972年製作の映画)
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吉永小百合さんマドンナ回。
満を持して登場、といった感じがあります。
彼女をどれだけ素敵に、どれだけ可愛く撮るかに力が注がれた作品にも思えます。とっても可憐で、周りの人が虜になるのも納得です。
流れ星を見たり、花を摘んでみたり、いつになくロマンティックなシーンが多いのも、吉永小百合さんがマドンナだからなのかもしれません。

初代おいちゃんを演じた森川信が亡くなったことにより、松村達雄が二代目として好演しています。
とらやの「貸間あり」のくだりもやっぱり面白い。

なんといってもマドンナ・歌子の父親役で宮口精二が出ています。
小説家である彼はこれまでずっと仕事一筋で、結局奥さんとは別れてしまい歌子と二人暮らし。
不愛想で不器用な父親を心配するあまり、歌子も結婚に踏み切れずにいるのです。
実際の宮口精二がどんな人なのかは知りませんが、やっぱり『七人の侍』のイメージが強いので口数の少なくて渋い人、というキャラクターが似合います。

マドンナの恋は実るが寅は実らず。
「寅さんのおかげよありがとう」と言って去っていく彼女をただ笑顔で見送るしかない、いつもの寂しさが愛おしくもあります。
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