イチロヲ

男はつらいよ 柴又慕情のイチロヲのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 柴又慕情(1972年製作の映画)
3.5
団子屋の二階を追い出された寅次郎(渥美清)が、旅先で出会った三人娘と親交を深めていく。国民的人情喜劇シリーズの第9弾。

おいちゃん役の森川信が死去したため、松村達雄が同役を引き継いでいる。寅次郎と接近遭遇したときの「ウヘェ~」という表情作りがなくなっているけれども、人柄の面では忠実にコピーしている。

今回のマドンナは、満を持しての登場となる吉永小百合。寅次郎の慇懃無礼な態度をギャグへと転換させていく手法が面白い。そして、自身の恋愛経験の薄さが仇となり、若い娘の恋愛話に乗ることができず、孤立してしまう感覚に同調を禁じ得ない。

車寅次郎という人物は、現実的に見るとASD(自閉症スペクトラム障害)に属するのだが、コメディの主人公にそれを言うのは無粋というもの。「バカボンのパパ」に対して、障害を指摘するのと同じことであり、ほとんどのコメディが成り立たなくなってしまう。
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