BOB

スパルタカスのBOBのレビュー・感想・評価

スパルタカス(1960年製作の映画)
3.8
カーク・ダグラスが製作総指揮・主演、当時無名だったスタンリー・キューブリックが監督を務めた歴史超大作。

共和政ローマ時代。闘技場用剣闘士として訓練されていた奴隷スパルタカスが、他の奴隷を率いて反乱を起こす。

"I am Spartacus!!'"

キューブリック作品、未見の残り3作を観ていく。どれも長尺なのでなかなか観る気が起こらなかったが、どっしり構えていざ鑑賞。

ハリウッド黄金期らしい歴史超大作。スペクタクル!とにかくスケールがデカい!衣装、メイク、セット、エキストラと、とことん金が注ぎ込まれている。

"死ぬ自由"の存在を意識させられた。

スパルタカスの反乱が巻き起こすローマ帝国内の政治劇が興味深かった。民衆のローマか"我々の"ローマか。クラサスとシーザー、グラッカスと奴隷商人。いつの時代も男を動かすのは、金か権力か女。テーマは、失う恐怖。ローマ人の風呂など、文化人類学的にも面白い。

印象深い画。
・大決戦。CGなしでこれは凄い。特に、決戦前のローマ軍の大変隊と、火だるま。
・決戦後の死体で埋め尽くされた野原の光景。3D絵画。マッドペイント。
・道路沿いにずらっと並んだ奴隷の磔。

キューブリック監督。急遽決まった雇われ監督ということで、監督本人も自分の作品だと認めていないらしいが、良い意味で癖がなく誰もが楽しめる作品に仕上がっている。この大人数を監督するのは並大抵のことじゃないと思うし、様々な映画ジャンルの含まれる歴史超大作を撮れる監督はそれだけで偉大だと思う。

スパルタカス役カーク・ダグラス。勇敢な漢を熱演。やはり闘技場での決闘シーンがアイコニック。卵がぶしゃっと顔面にかかるシーンもなぜか忘れられない。

ヒロイン・バリニ役は『大いなる西部』のジーン・シモンズ。メイクや役柄のせいもあるだろうが、ビビアン・リーやエリザベス・テイラーに似ている気がした。皆イギリス人。これが当時の理想の美人像だったのだろうか。

クラサスとアントニヌス。バイセクシュアルな主人と彼から逃げる付き人。ラストのスパルタカス(愛する女の夫)vsアントニヌス(愛する男)の決闘は、クラサスの性的嗜好の戦いにも思えた。"My taste includes both snails and oysters."

トリビア
・カーク・ダグラスは、撮影当初監督であったアンソニー・マンとうまくいかず、急遽『突撃』で共に仕事をしたキューブリック監督を呼び寄せた。二人の仲は『突撃』から上手く行っておらず、本作でもお互いにストレスの溜まる撮影だったらしい。その後2度とタッグを組む事はなかった。

"All men lose when they die and all men die. But a slave and a free man lose different things."
"They both lose life."
"When a free man dies, he loses the pleasure of life. A slave loses his pain. Death is the only freedom a slave knows. That's why he's not afraid of it. That's why we'll win."

"Are you afraid to die, Spartacus?"
"No more than I was to be born."

「息子が自由の身で生まれること。」

73
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