こーべい

うなぎのこーべいのレビュー・感想・評価

うなぎ(1997年製作の映画)
4.2
ドロドロした話だし、ハッピーエンドではないのかもしれないが一抹の奇妙さと、清々しい余韻の残る映画。かなり好み。

『万引き家族』から『寝ても覚めても』の流れでカンヌっていいなと思って調べたら出てきた映画。邦画でパルムドール受賞はこれ合わせて歴代5本あるらしい。意外と多い。

妻の不倫現場を目撃し逆上。妻を刺殺してしまった山下(役所広司)は仮出所すると千葉の漁師町で理髪店をやりながら人と関わらないように生きていくー。

何も話さないうなぎに自己投影しているのだろうか。自分と外の世界をシャットアウトして、自分自身とだけ向き合うような生活。
なんでも「前向きに、積極的に、負けないで」と煽り立てる現代社会において、立ち止まって自分の中に籠もることを肯定してくれる映画だと思う。そして、いつかはちょっとしたきっかけでまた人と関わっていくことができることを示唆する救いもある。

自転車二人乗りの映画にはずれなし、の法則に当てはまりました。

(あと、千葉の漁師町の雰囲気大好き)