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薔薇の葬列の一のレビュー・感想・評価

薔薇の葬列(1969年製作の映画)
3.5
松本俊夫監督長編デビュー作

ギリシャ神話をモチーフとした、1960年代末期の新宿、六本木、原宿を舞台に、当時の風俗や世相を大胆に反映させたピーターとゲイボーイたちのコミカルな悲劇を描く

よくわからない作品であることは百も承知の上で映像作品として鑑賞すると、取っ付きにくさはあれど意外にも娯楽性が強く、芸術性とのバランスが絶妙で、割とコメディ寄りで思ったよりも楽しめた

キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』に影響を与えたと言われている作品で、ATGらしいショッキングな映像を交えた前衛作品ですが、カルトというには少しパンチに欠けるかなというのが正直なところ

冒頭のスタッフロールの出し方から奇をてらってやるぞ!とやる気満々なのがとても良くわかるけど、革新的かと言われるとそれもちょっと微妙

そうはいっても、奥行きのあるモノクロの映像美や、ピーターの俳優魂には感銘を受けるほど素晴らしいものがあったし、淀川長治氏の流れは思わず吹き出してしまうほど面白かった

〈 Rotten Tomatoes 🍅100% 🍿86% 〉
〈 IMDb 7.9 / Metascore - / Letterboxd 4.2 〉

2021 自宅鑑賞 No.347
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