えびちゃん

薔薇の葬列のえびちゃんのレビュー・感想・評価

薔薇の葬列(1969年製作の映画)
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ウワーーすごい作品だった!アングラでアヴァンギャルドな世界。60年代のゲイクラブを舞台にオイディプス神話をなぞったとされるストーリー展開。オイディプスといったら近親相姦ですが、あぁそうくるのかーーと膝を打ち唸るプロット。マリファナをキメてみんなでワイワイやったり、ゲイクラブのママ権争奪戦なんかを描きつつ、途中で差し込まれる唐突なインタビューシーンやご本人役の淀川さん登場などとにかく斬新!早回しシーンは時計仕掛けのオレンジの元ネタとされてるらしいが正直こちらの方がずっとずっとセンセーショナルでオシャレで脳裏に焼き付くような衝撃だった。お金ないから友人出演(蜷川幸雄!)させて、新宿の街でゲリラ撮影して、アレコレ工夫凝らした編集して、とにかく映画を作りたい!という熱き情熱とパワーを感じた。ユーモラスでもあり、シリアスでもあり、一瞬難解かと思いたじろいだけど意外にわかりやすく、かつ最高にかっこよかった。
自分が世界を変えると信じて疑わない無責任な若者たちと、今が楽しければ後のことは構わない刹那的な快楽に耽る若者たち。対比的でありながらも実はお互い主体性を持たず根っこが繋がっていそうな薔薇たちをまるごと包んだ猥雑な東京の街はなぜか優しく映った。
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