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マイ・マザーのKotaのレビュー・感想・評価

マイ・マザー(2009年製作の映画)
3.7
“なぜだろう、愛しているのに。”

“ジョン・F・ドノヴァンの死と生”を見てからグザヴィエ・ドラン熱が再び。もう彼の作品を5年ほど前に一気見してから暫く経つから、今みると更に良さが増す。彼の母親との関係を映画にしたこのデビュー作当時なんと19歳。ほんと半端ない。

“息子”にとって“母親”は特別な存在。「愛してる」って言葉が最早本来の意味を持たないほどに、言葉では説明できない繋がりと、それ故にとてもそれを認めたくない瞬間がある。大きさに違いはあれど誰かの息子である人はとても共感できるはず。「今日僕が死んだら?」という言葉に、聞こえない小さな声で「明日私も死ぬわ」って返すところがこの映画の全て。

印象的なのは息子が同性愛者だと知って一瞬動揺する母親が映されるけど、それが映画の展開には全く影響を及ぼさないということ。そしてどんなに酷いことを言われようが、一度も涙を流さずにその一歩先にいる様な態度でやり過ごす母親。どちらかというと母親が主役で、永遠に大声で怒鳴るドランが子犬みたいでちょっと可愛い。
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