せびたん

裏窓のせびたんのレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
4.5
『めまい』を観たらこれも観たくなりまして。
さすがに少し風化してきてますがセットと物語を楽しめる作品です。

コの字型に配置されてる3棟のアパートとそれらが面している庭、3棟のうちの2棟の隙間からわずかに見える大通りとパブ。それが全部スタジオ内のひとつのセットで組まれてまして、規模も大きいけど作り込み度もめちゃ高くて感動ものです。CGのほうがきれいな映像になるんでしょうが味わいは違ってきますよね。

あとは音の要素(セリフや効果音や音楽)も必要最小限に整理されてたような気が。キャラも全員立ってましたし。まさに教科書のような映画でして、ゴダールやトリュフォーがヒッチコックから生まれたことも納得です。

物語は主人公の恋愛問題がとりあえずの縦糸で、あとは主人公が目撃する?覗き見する?各部屋の出来事が絡んでくる感じです。このへんも妙にリアルなんですよね。なんていうかほどよい悪趣味感ですかね。

途中、主人公たちは素人探偵的なことをエスカレートさせていくのですが(安楽椅子探偵じゃなくて車椅子探偵w)、その過程で主人公たちに犯人とされた男のセリフがめちゃリアルで笑いました。『だよな、そこだよな』って感じでしたね。人は暇すぎると思わぬ方向へ向かって走り出してしまうものなんですね。笑

分かりやすいのに深い作品です。
私は仕事上BtoCな環境になることも多く、複雑な内容を専門用語を極力使わず簡潔に説明しなきゃならないので、こういうふうにできてるかなあって考えさせられます。
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