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裏窓のnamのレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
3.7
「引きこもったまま事件解決に挑むワンシチュエーションサスペンス」

ヒッチコック監督作品の中でも有名な本作。

事故で脚をケガしたために自分の部屋にいるしかないジェフが唯一見れるのは窓からの風景で、そんな人間観察が日課になったある日、ある夫婦の行動から殺人事件を疑い始めるというストーリー。

面白いのは全て自分の部屋から見える風景のみで映像が構成されている点です。窓から見える住人達の姿が遠まきにそのまま見えるだけ、そのため常に窓から見えるわけでなく、カーテンが閉まっている時もあれば、窓際にいない時もあったり見える風景は断片的です。

そんな断片的な人の生活を覗き見る事で色々な想像力が働き、自分の中での妄想が広がっていく様子が非常に興味深かった。

殺人事件が起きてるんじゃないかなんていうのはただの妄想だろうと当然バカにされるますが、次第に断片が繋がっていく様子は面白かった。ただ同時に断片的な情報だけで間違った推理をしていた可能性もあるから実に危ういなとも感じました。

そして恋人役を演じたグレース・ケリーの絶世の美女ぶりにも驚かされる。

ジェフ同様にコロナ禍の我々とある種、引きこもりになっていて彼にとって唯一の社会との繋がりがの"裏窓"であったように我々は"スマホやPC"で世の中と繋がっている事を考えると、シチュエーションは違えど限られた情報で、それをどう判断するかによって、時に偏った印象や間違った判断をする事は大いにあります。そんな情報の扱いのリテラシーの事など色々考えてしまいました。

皆さんにとっての"裏窓"からの情報の判断は慎重にしていきましょう。
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