あとからジワジワくる、地味だけど味わい深いコーエン兄弟作品。
半ば人生を諦めた初老の理髪師が、妻の浮気を知り、一瞬の欲望でふらっと上手い話に乗り、あれよあれよと人生が転がって行くお話し。
終始、ビリー・ボブ・ソーントンの悲哀に満ちた表情と醸し出す雰囲気から目が離せなかった。ナレーションも頗る心地良い。
ある意味、彼の為の作品、彼の魅力を堪能する作品じゃないかな?
何れにしてもコーエン兄弟の脚本力に唸る!
そして撮影も素晴らしい!
二転三転する展開、ブラックユーモア、独特の雰囲気、高度な隠喩表現…
目が離せなかった。
人間の本質、或いは人生を描くのが巧いなぁ…と感心する。更には人生哲学すら感じる。
ベートーヴェンとの相性抜群のシャープなモノクロ映像も見どころだったけど、モノクロ変換前のカラー撮影版がとても気になる。
あと、マクドーマンドの安定感のある演技と、初々しくて可愛いスカヨハも必見!