chelsea

バーバーのchelseaのレビュー・感想・評価

バーバー(2001年製作の映画)
4.9
描写が丁寧で美しくコーエン兄弟の作品の中でも特に好きな作品。夫が妻の足の毛を剃ってあげる様、その剃刀を湯船でゆすぐ様、毛が水中でフワーッと広がっていく様、ただそのままの流れなのだが、みんな誰もが生活の中で普通に見てる物事の「流れ」と、その中で例えば洗濯機が回るのをずっと見てしまうような、ある性癖みたいなものを彼らはとてもよく理解してて、それをそのまま撮ってるだけなのに(技法的なものがあるのかもしれないけど)こちらはなんだか他人の性癖に触れているような背徳感を抱くことができる。主人公の語りが一見客観的なようで自分の行動については説明が少なく、実は主観的に進んでいるのもよく出来てると思う。
他人にたくさんの勘違いをされても大きな言い訳をせずなんとなく転がるままに行き着いた主人公が、夢か現かで見た超常現象は、確かに何かの勝利した象徴だったと思う。
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