コーエン兄弟の作品は、ジャンルとしてとても確立されている。
縦軸に(薄)笑い
横軸に不条理さ
そのマトリクス上において右上に位置するのがファーゴとかバスターのバラードなら、こちらは比較的左下。つまりわたしには薄味なように感じたのです。
見終わるのに5日くらいかかっちゃった。
間でthe boys見てしまったのもあるけど。
義理の弟の床屋で働くエド。楽しみなんて何もなく、結婚はしているけれど情熱的だったことなんてないのでは?というほど低温度。そんなエドが自分の身の上に起きたことを朴訥としたナレーションで語るスタイルで物語は進みます。何もしなくても伸びる髪の毛をただ流されるように切る生活をしながら、少し、その道を逸れようと足掻くことで事態はおかしな方向に‥‥
そのおかしな方向への転がり方が静か過ぎるので、そこが妙味なんですがなかなか先に進まないのです。
スカヨハとの車のシーンはスピード感あって好きだったけど。
何も望んでいないとき、それはそっと心に滑り込み、望んでみればそれは全く思い通りにならず、側からみれば良かったじゃないか、と思うことすらちぐはぐになる。
そして雪玉を転がした自分へ、報いはきちんと返ってくる。
不条理なようで条理なような世界でした。
髪の毛
タバコ
宇宙船
多分なにかのメタファなんだろうけど、生憎単純なことしか理解できないわたしの頭には、ちょっと難しかった。
こういう作品を「面白いよ!」って自信持って勧められる人になりたいわ。