じゃん

妖刀物語 花の吉原百人斬りのじゃんのレビュー・感想・評価

3.7
内田吐夢監督作、やっぱりセットや衣装、色遣いが素晴らしい。

でも主演2人がそれにそぐわず、綺麗でないので、イマイチ前半のめり込めないのが難点。

痣にキスするシーンは流石に良い。

ただ、水谷八重子にハマる片岡知恵蔵がよくわからない。

いくらなんでもヒロインにもう少しエロさや可愛さが欲しい。
野心や意地の悪さばかり感じられる。

主演2人が、もう少し綺麗目ならかなり面白かったかも。
映画的には、嘘でもそうして欲しかった。

吉原の宿屋夫婦の嫌な人ぶりが素晴らしい。


最後、逃げ惑うシーン、カメラが上から2人を捉えてるのが斬新。

太夫になっても結局、吉原の門から、社会システムから抜け出せない、門の前で閉ざされるヒロイン。

更に最後、カメラが引いて桜が散るシーン、最高だ。
こんなに凄いラストシーンは中々無い。

歌舞伎から時代劇への流れ、ある種の型の美しさがラストシーンに昇華されている。

でも、ヒロインは最後、出来たら顔に傷を付けて欲しかった。
主人公と同じ痣の位置に。
そうなったらもっとドラマティックだった。

にしても浪速の恋の物語もそうだったが、内田吐夢監督は拝金主義が相当お嫌いなのかな。

それともドラマにしやすいからこういう設定を扱ってるのかな。