みかんぼうや

アリスのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

アリス(1988年製作の映画)
3.0
【そのキャラクターと世界観の奇妙さに「不思議の国のアリス」と「千と千尋の神隠し」の類似性を見るストップモーションアニメーション】

う~ん、これは映像芸術作品としては本当に素晴らしい作品だと思うのですが、チェコのアニメーション映画の巨匠ヤン・シュヴァンクマイエル監督の作品ということを知りつつ、忖度抜きで自分には合わなかった・・・

作品の不気味さと世界観は個人的にかなり好きです。ですので、最初は興味津々で食い入るように観ていたのですが、私、もともとストップモーションアニメーションの作品がそこまで好きではないみたいです(「犬が島」とかもあんまりだったし。「JUNK HEAD」は“面白さ”より一人で作り上げた“凄さ”にやられた感じでした)。独自の世界観に裏打ちされたアーティスティックな映像の連続を見続けるような感覚で観ていて、映像としてはとても魅力的ながら、作品全体の“物語性”をあまり感じられず(ストーリーの目的性を見出せず)、途中で飽きてしまい、単純に“楽しめなかった”のですよね。物語に固執すべき作品ではないとわかりつつ。

なので、この世界観と映像芸術が魅力的に映る方にはかなり面白い映画だと思うのですが、私が映画に求めるものと異なっていただけなのだと思いました。

余談ですが、この「アリス」の世界に登場する奇妙なキャラクターたちや全体を包む世界観って、世界の人たちから見た「千と千尋の神隠し」の奇抜なキャラクターと世界観への感じ方と似ているのかな?と、赤ん坊の泣き声がする何かを抱えていたら急にブタになったシーンを見て思いました(「千と千尋」の両親がブタになる姿が頭によぎって)。どちらも小さい女の子が独自の世界に入り込んでしまうファンタジーですしね。

ということで、点数は辛口ですが、完全に個人的嗜好の問題なので、好きな方には超高得点がついてもおかしくない、映像として非常に独自性のある作品だと思いました。
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