このレビューはネタバレを含みます
天才詐欺師とFBI捜査官の追いかけっこを描いたコメディ。しかし、このモチーフによって描かれていたのは、家族の崩壊によって孤独を背負ってしまった少年と、彼を追いかけることで見守る男の姿であった。
富を失い、絆も失ってしまった両親。不当に稼いだお金でそれを買い戻そうとする詐欺師フランクが哀しい。彼は天才であり、両親を心から愛する優しい子どもなのだ。あざやかな手口にも関わらず、ボロが出そうになる時は決まって子どもじみたミスをする。そこがまた哀しくさせる。
嘘と虚構の世界で生きるフランクにとって、自分の本当の姿を知るFBI捜査官カールは、唯一の真実である。詐欺を知っても止めようとしない父。しかしカールは、真正面からフランクを受け止めようとする。少年の心の揺らぎを演じるディカプリオと、どっしりとしたトムハンクスの演技のぶつかり合いが素晴らしかった。
60年代の空港と、航空会社の制服にはうっとりしてしまった。007ショーンコネリー版ボンドへのオマージュまで飛び出して、ニヤリとさせられた。
この流れで次を観るなら、ターミナルかな。