とらキチ

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンのとらキチのレビュー・感想・評価

3.8
“父親”を追い求め続けた若き天才詐欺師の“鬼ごっこ”。
当時27歳のディカプリオの制服姿やスーツ姿がカッコイイ!ティーンエイジャーの姿はちょっと無理があるかな⁈って思うけど、でもちゃんとそれなりに見えるのがスゴい。
別れてしまった両親を元通りにしようと詐欺行為を繰り返すフランクJr.、その手口や手法、いざそれを実行する際の度胸は、とても10代とは思えないほどなのに、肝心な大元のところの考えが、まだまだ甘ちゃんの子どもであるというギャップが面白い。でもその想いの根本がただただフランクJr.の寂しさから来るものだったのだと思うと悲しくなってくる。どこかで父親に犯罪を引き止めてほしい、母親に戻ってきてほしい、そんなフランクJr.の思いに反して父親は亡くなり、母親は再婚して新たな家庭を作ってしまい、今度はその寂しさの行き場をカールに求める。カールをからかい、カールに甘え、カールに紹介された仕事をやってみたりして。全てはフランクJr.が大人を求める寂しさから来る感情と承認欲求によるものなのだろう。更に言えば、両親が離婚してしまう、という境遇はスティーブン・スピルバーグ自身と重なるところもある。
また、身分詐称や詐欺の根本にある、世の中の外見、肩書、権威、ステータスに対して無条件に信じてしまうことや、逆に疑いすぎてしまうことの危険性をコミカルに表現していた。
クリストファー・ウォーケンやマーティン・シーンと脇がメチャ豪華!更には歯の矯正をしていたあの彼女、よくよく見たらエイミー・アダムス!全然垢抜けてないのが逆にイイ。
それとやっぱり今作は“Pan Am”とか空港の雰囲気とかのミッドセンチュリーの時代感の再現性がとてもイイ。嘘のような本当の話を、よりリアルに感じさせてくれた。
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