鰯

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンの鰯のレビュー・感想・評価

4.0
何の価値もない男

様々な職業を語りながら、詐欺行為を続けたフランク・アバグネイル。彼を追ったFBI捜査官のカール・ハンラティ。彼らはどのように交わり、事件はどのような展開へと向かうのか。

最近気づいたんですけど、スティーブン・スピルバーグってすごくないですか(今更)?個々の作品のクオリティはもちろんのこと、公開のペースだったり、なんでもない話をドラマチックに見せたり。2時間超えてもあっという間に感じるし。それと、毎度毎度キャラクターの人間臭さがすごい。

フランク・アバグネイルがなぜ詐欺行為を続けたのか、幼少期から描く。成功から没落までのテンポがすごい。ほんとに一瞬。それでも、ダンスシーンがあるから、一家の多幸感はよく伝わる。スーツを借りるくだりは、それ以降のフランクの「やり口」にも繋がっていく。
制服のもつ「説得力・権威」がそこかしこに表れる。パイロットの制服を着れば周囲は羨望の眼差しで彼を見つめ、医師を名乗れば職員は頭が上がらない。だけど、フランクが初めてカールと対峙するときだけ、ただのスーツなんだよなあ。あの時のやり取りがとっても好き。
あとFBIの制服、というか黒スーツにサングラスがあまりにコミカルでずっと笑ってました。
一番好きだったのは、フランクがどうやって司法試験を突破したか明らかになる場面。あまりにあっさりとフランクが答えたものだから、その拍子抜けした雰囲気が逆に気に入ってます。

オープニングからセンスの爆発しているジョン・ウィリアムズの音楽は、やっぱりすごかった。盛り上げすぎず、でもずっと小気味いい感じ。ほんとすごいなあ
W主演のレオナルド・ディカプリオとトム・ハンクスだけに限らず、脇役が素晴らしい。フランクの父を演じたクリストファー・ウォーケン!カッコいい!!狭いアパートに帰ってきたときのフランクとのやり取りが好き。場末のバーでのフランクとのやり取りも好き。
そして、エイミー・アダムスが若い!
鰯