今敏監督の長編デビュー作。「ブラックスワン」に影響与えたとあり、鑑賞。ミステリー仕立てのストーリー展開、見事でした。けっこう早い段階で怪しい人発見。その背景や予想がついてしまいましたが、幻想と現実が混濁していく辺りから幾重にも折り畳まれた流れは天才だと思いました。このアイデアはさまざまな形で応用、展開されたのがわかります。
まずレイヤー構造やネットワーク構造の世界観があり、インターネットが普及した当時、ネット上の成りすましや自己コピーの増殖等、自己認識と同一性の証明の難しさ等、デジタルによって人の世界観が大きく変わってきたことを巧く利用しているなあと思って観ていました。
今監督がご存命だったら、VR、AI、メタバース等からどんな発想でどんな作品を創造されたのか気になりました。
しかし、この作品についての率直な感想は、気色わるくて苦手でした。
キーワードは、アイドル、ストーカー、レイプ、バイオレンス、裏サイト等々。苦手なワードばかり…しかもグロ…
これで今敏作品４作品すべて鑑賞しましたが、「パプリカ」の混濁した世界観に感動し、「東京ゴッドファーザーズ」は絵面が苦手で、「千年女優」で邦画への愛を感じ、この「パーフェクトブルー」と過去作に遡りました。
