今敏監督作品を観るのもこれで4作目。彼のデビュー作なのだそう。
アイドルグループから脱退し女優としてのキャリアを目指すも、飛び込んで来る仕事は過激なグラビアや濡れ場有りのドラマばかり。自分が目指したものと、実際の自分、周囲からの目線が、彼女の中で錯綜する様子を、抜群の映像編集で見せる。
1998年公開という事でちょうどモーニング娘。がデビューした頃になる。アイドルとファンの距離が縮まる事から生まれるストーカーの恐怖や、ファンの妄想が生み出す虚構等、当時のワイドショーなんかでは話題になっていた社会現象を取り入れている。
しかし、主人公が所属するグループCHAMが、'80年代的なぶりっ子路線であったり、時代の描き方がやや古く、それがどうにも作品全体のテイストをオジサン臭くしているように思える。
当時としてはアニメで描く事自体が貴重だった作風だったと思うので、そこが評価されたのだろう。