ニューランド

パーフェクトブルーのニューランドのレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
3.9
☑️『PERFECT BLUE』及び『千年女優』▶️▶️
春先にこの作家の後期二本を観て、前期二本を再見したいなと思っていた。今回は本来の35ミリでなく、ブルーレイ版なのは残念だが、共に設定・展開に不充分なままの積み上げは散見されるも、熱・見応えは充分以上で、共通点も多く、とりわけ一本目『PRRFECT BLUE』の生理的尖鋭さには改めて引き込まれ内容よりも同じに息遣いしてる自分を感じ、二本目『千年女優』の画面の作り込みの完成度にはただ感心しこれ程正攻法の埋込みは最新技術でも容易には無理と思わす。時制や現実・幻想の細かな行き来、それどころかそれらが一画面に同居も普通に、走るののフォローや闘いの自在手持ち的フィット揺れかた、暗い画面のニュアンスも減らない、アングル・サイズ取りの正確さとリアルさ。一本目は、アイドルの煌めき・儚さと俳優の着実・地味さの本人と周囲の選択、幻視・幻想・夢と現実の境界の判別不能化(ブニュエル的)、そこへ至る本人・彼女に自己を託する周囲の切迫・入り込み・主体の消失(多重人格)、のキレ・粘っこさ・思い切り・痛さは血のりの量による表現だけでも凄く、二本目は時代の空気・スタジオ全盛期の描写が作者の年齢からいっても表層からしか入って行けぬが、その確な細部の再現・表出力は圧巻で、無理のあるテーマも明るい前向き・未来志向がアラを抑えて引っ張ってくのが鮮やかこの上ない。
ある意味アニメ題材としてありがちともいえ、過去の自分(とされてたもの)との、対峙・あるいは呼び起こしをテーマにしているわけだが、いつもこんなに痛々しいのは周囲の人間が彼らも抱き託したそのイメージの複合体的あり方が、独りよがりでない客観的・現実的に、都度切迫して生き物化しているからだろう。
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