チーボー

トムボーイのチーボーのレビュー・感想・評価

トムボーイ(2011年製作の映画)
4.8
前情報無し、あらすじも読まずに観てよかった、意味合いがくるくる回りだす。
そして画。チャーミングな顔顔、透明感さえ覚える手足。

なんであれで成立していたのか、大人になってから思うと本当に不思議。
フィジカルな学童社会。
なつかしさに目をギュッとつむる。

みんな元々は、幼き頃は、まったいらな手足を携えていて。
健やかな眼差しをたたえていて。

澄んだ愛情で胸の、いや、両の肩から足の付け根に至るまでその胴体すべてを満たしていたのだけど。
我こそが命の瑞々しさそのものである、といわんばかりにふるふると動いていたはずなのだけど。

避けがたく社会を作ってしまう。
作られた枠組みに合わせてぐぃとハマってしまう。
いつしか陰険な眼差しをも覚えてしまう。
それでも。

若い命が、手足がどこへ向かって駆けるか、それはどうしたって持ち主に任されている。

*以下内容についてあれこれ

おおかた素敵な両親、特にパパ。ママも超人妊婦ですよね。
誰にだって受容できる範囲というのはある。
「早く大人になれ」の意味合いがこうも変わるなんて。すごい、巧み。

音楽が流れるのは1か所だけ、世界の崩壊と言っても過言ではないような衝撃も、静かな画面のほうが伝わることがあるのですね。

木に区切られた先に、ワンピースという作られた女性像を置き去りにしてロールが去る画。ため息ものでした。

リザのか細い告白。みぞおちの中身がちぎれそうな切なさ。
チーボー

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