夜

トムボーイの夜のレビュー・感想・評価

トムボーイ(2011年製作の映画)
4.5
「燃ゆる女の肖像」のセリーヌ・シアマ監督の2011年の作品がやっと日本でも公開。10才の女のコの性自認についての悩みと苦しみを淡々と描く。第二次性徴期を迎える前の体はTシャツを脱いでサッカーをしたって誰も彼が彼女だなんて気付かない。同年代の男の子とケンカをしても負かせられる。どうして自分の体が男じゃないのか、より根源的な違和感、不和を処理出来ず父親の前だけ幼児退行する姿がかなしい。
彼が彼女と知らず好意を持ってしまうリズも同様で、今までの惹かれていた力強さや雄々しさが女のコの体に宿っていたものなんて容易に受け入れられるものではない。けれど今まで抱いていた感情が無くなるでもなく、理解までは遠い道のりでも知りたいから会いに行ったんだと、踏み出した行動を希望と思いたい。彼はこれからも普通の人の何倍も傷つかなくてよいところで傷ついて生きていくんだろうな。
夜