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トムボーイのらのレビュー・感想・評価

トムボーイ(2011年製作の映画)
3.7
子供の頃は、みんな自分自身のアイデンティティというものが曖昧であった。成長して世間の目や社会の規範を内面化するようになると、無理にでも何とかそれを統合しようと努め、その代わりに社会的な"ペルソナ"を発達させていくのかもしれない。

本作の主人公ロール/ミカエルは、10歳という微妙な年齢にある。大人になるにはまだかなり早いが、思春期を前にしてちょうどませ始める頃。カメラは、そんな微妙な時期にある一人のtomboy(お転婆)のアイデンティティの"ゆれ"を淡々と、それでいて瑞々しくとらえている。『秘密の森の、その向こう』しかり、セリーヌ・シアマには、子供とフラットな視点に立つことのできる天賦の才があるように思う。
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