うめまつ

セブン・イヤーズ・イン・チベットのうめまつのレビュー・感想・評価

4.0
どうして人は種を撒かれた場所で精いっぱい咲いて朽ちる花のようには生きられないのか。他の土地に侵略し根を張る花を引っこ抜き自分の旗を刺す行為の醜悪さ。平和を愛し、無我の境地を尊び、誰かの上に立つ事は目指さず、信仰が国を守ると信じている無防備なチベットに、何万という大軍で押し寄せる中国を見てあまりに遣る瀬無い気持ちになった。勿論中国軍が憎い、とも思ったけどこれは世界中で今この瞬間にも行われていることで、私も傍観しているだけで加担しているのだ。砂の曼荼羅が出てきた時点で踏み潰される運命であることが判ってしまって悲しくなった。

史実を元にしているので後半は辛い展開だけど、前半は壮大な景色の中のワイルドな旅(というか逃亡)と神秘的なチベットの文化を堪能できる。何と言ってもダライラマ役の少年の魅力に引き込まれる。聡明さの中に抑えきれない好奇心が滲むキラキラした瞳。でも既に使命を持つ者の佇まいを身につけてる。外の世界を知らない彼に「何か話をして」なんて言われたら、自分の持てるすべてを差し出したいと思うだろうな。私が持っているだけでは役に立たたない知識も、彼の頭の中に入れば万華鏡のように煌めいて誰かの道を照らす手助けになるだろう。

そして30代前半のブラピは美しさが最高潮で、美が過剰なアクセサリーとなって煌めいていた。見所としてはチベットの娘さんとの、異国情緒たっぷりの恋の三角関係inアイススケートがなかなか良い。女の子にいいとこ見せようとはりきって盛大にズッコけるブラピが見もの。(チベットではスケート靴は肉を切る為の道具に見えるらしい。カルチャーショック!) あと上半身裸で凡ゆる箇所を採寸されてたけど、着衣派な上にミステリアス要素がないからか全然ときめかなかった。はぁ残念。
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