知恵を有することで安寧を捨て、自由を手にした人の道には、絶えず“不都合な真実”が横たわる。宇宙という闇に包まれたこの星で、あるいは夜の闇が世界を覆う時の中で、人は本来的に邪悪を有する生き物であるという自明の理。善と悪の対立は神と悪魔のそれなどではなく、光が当たれば影が生まれるように、また闇がなければ光は存在し得ないように、この世の因果律の一端に過ぎない。人が人たる所以に悪を自ら生み出し、未来永劫戦い続けなければならない“不都合な真実”を、ようやく認められるまでに至る何千という年月。
それにしても、救世主たるイエス・キリストの正体が宇宙人だったという、あるようでないようなトリッキーな設定にはSF浪漫がくすぐられてアガる。
あと、得体のしれない緑色の液体がことごとく口に入ってくるコメディ表現といえば、「私を地獄に連れてって（DRAG ME TO HELL）」でお馴染み、サム・ライミの『スペル』を思い出す。
