sumicco

ペーパー・ムーンのsumiccoのレビュー・感想・評価

ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)
4.0
この映画が作られた瞬間に
この世の映画は完成した、と
松本人志に言わしめた
詐欺師と少女の白黒ロードムービー。

起承転結がクリアなのに
喜怒哀楽は曖昧で
特に泣かせるでも笑わせるでもなく
そんなに派手に盛り上がらないのが旅であり
人生そのものの象徴のよう。

終盤になると
タイトルがじんわり効いてくるんです。


いつも思うことがあって。

家族との思い出も
友だちとの思い出も
些細なことのほうがずっと残るの、
なんでだろうって
ずっと不思議なんですよね。

旅行にも行ったし
誕生日パーティーとかイベントとか
たくさんしたはずなのに
ある坂道の途中で振り返っただけとか
しりとりでみんなで笑ったとか
付箋をつけたはずもない瞬間こそ
何度でも思い出したりしません?

なにがそんなに記憶にこびりつくのか
どんなに考えてもわからないのに
きっと一生の宝になるんだろうと
それだけはわかる、魔法みたいな時間。

モーゼとアディの旅は
そのことを改めて
あたしに囁いてくれたような気がします。
sumicco

sumicco