mrt半兵衛

ペーパー・ムーンのmrt半兵衛のレビュー・感想・評価

ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)
4.3
このところ、過去に観たけれども内容を忘れかけている作品を再鑑賞することにハマっております。楽しい。



ライアン・オニール(モーゼ)とテイタム・オニール(アディ)の正真正銘!本物の親子が、
“親子...なのかも?”という設定で共演している訳ですが、
撮影現場めちゃ楽しかっただろうなあ~(癒)
いや、逆にギッスギスの険悪ムードで やりづらかったのかしら...(汗)
なんて、余計な事まで考えてしまうほどホッコリできる素敵な映画です。



しかめっ面のアディが ものすごく憎たらしくて、まるで子供の頃の自分を見ているようでした。
ショートヘアで、好んで着る服はチェックのシャツにオーバーオール。
9歳になっても男の子に間違われてしまうような乱暴な口調と佇まい。
猫背で華奢な体つきで、口は常にへの字、誰に対しても無愛想。
眉間に皺を寄せ、目を細め、顎を斜め上に突き上げ、音を立てながらガムをくっちゃくちゃ噛むアディの姿は お世辞にも可愛いとは言えません...。


そんなアディですが、
どうやらモーゼのことは かなり気に入ったようです(可愛いヤツめ!)
しかし、突如現れたトリクシー(高慢な売れないダンサーで金遣いが荒いがナイスバデーな おねえさま)にモーゼが首ったけになってしまうという まさかの展開!
もちろん、アディにとっては何一つ面白くありません。
アディの眉間の皺は より一層 深くなり、しかめっ面に ますます磨きが かかります...




ふと、アディの年頃(もう少し幼かったかも)の自分の、とある特殊な感情を思い出しました。

新年の集まりに たまに現れる親戚の優しい お兄ちゃん(20歳くらい離れていたのかな...今や会うことすらありません)が居て、いつも 真っ先に幼い私に構ってくれました。
そんな お兄ちゃんが、ふと私に背を向けて大人達の輪に混ざり酒を飲み始めてしまう瞬間の寂しさ・悲しさ。
お兄ちゃんを ずっと独占したいけれども大人に勝る会話も魅力も自分には無いし、結局 幼い私は お兄ちゃんが自分の元から去ってしまったことに対して ずっと膨れっ面して拗ねるだけ。

トリクシー登場後のアディの表情を目にした途端、
背伸びしても決して入り込むことのできない大人の世界に対する憧れや嫉妬や苛立ちが鮮明に蘇り、胸が苦しくなりました。


あの頃は、一秒でも早く大人になりたかったのになあ。