ジャッキーケン

ペーパー・ムーンのジャッキーケンのレビュー・感想・評価

ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)
4.5
聖書を売りつける詐欺師が母親を亡くした少女とのロードムービー!

あの「ローガン」にも影響を与えたに違いないハートウォーミングなボニーとクライド!

王道なロードムービーで最初はいがみ合う二人が絆を深めていくという王道かつシンプルにグッとくる映画なんだけど、全然浅くないし深く知れば知るほど「うおお!なるほど!」って思える映画

母親に先立たれた少女アディが全然少女っぽくない、タバコは蒸すわ、窮地に陥った時の機転が効くわ、子供特有のワアワアするみたいなのも全然ないむしろ大人よりも幅きかせられるという強すぎる女の子
男っぽい女の子だけどママに憧れて鏡の前で女っぽく見せようとする場面が好き

詐欺師のモーゼは聖書を売りつけるセールスマンでアディと共に売りつけバディを組むんだけど絵に描いたような凸凹コンビを見せてくれる。アディからは「アゴが私にそっくりだから父親でしょ」と言われるけど否定する

この映画は最後までアディの父親が誰かわからない、だがそこが良い
というかこのアディとモーゼを演じてるのが父親ライアンオニールとその娘テイタムオニール、演者が実の親子という時点で「あっ!」と察しがつく、敢えて映画で描かずとも映画のキャストを知ると「はっ!」とさせられるこのカラクリが良い

1974年製作なのに何故にモノクロなんだ?と思ってたんだけど映画の舞台が恐慌真っ只中なのに主演二人がブロンドで青い目をしているからそれを隠すためであったんだね、なるほど

しかも少女アディを演じたテイタムオニールはわずか10歳でアカデミー助演女優賞を手にしているって凄すぎる!演技も素晴らしいんだけど今見ても只者とは思えないキャラクター性に惚れ込んだ。ちなみに最年少受賞記録で未だに破られていない

歳の差が離れた又は親子のロードムービーを描いた作品の中でも本作は頭ひとつ抜けた良さがあったな、オニール親子の絶妙な掛け合い、旅路でのさまざまな危機に機転とユーモアを効かせた展開、二人の旅が名残惜しくも永遠に続くであろうクールなラスト、本作の裏側と功績を知れば本編以上に好きになる傑作ロードムービー