caramel

フィラデルフィアのcaramelのレビュー・感想・評価

フィラデルフィア(1993年製作の映画)
3.3
「幸せをつかむ歌」を観て、ジョナサン・デミの作品と言えばこれがあった!と見直しました。

公開後わりとすぐに、母と一緒にビデオを借りてきて観た記憶はあったのですが、当時は(小学校中学年くらい?)尊いことを言っているようだけど、あまりよくわからないな..トム・ハンクス凄い、という印象しかなく、改めて観てみて、その時代背景も考えると、ジョナサン・デミが描いてきたマイノリティの苦悩、問題への目の向け方に共感するものがある。

ゲイで、エイズを患っているベケット、黒人のミラー。互いに視点が違えばマイノリティだということを隠さず綺麗事でなく描く視点。
自然と生まれる感情や生理的な気持ちに嘘をつく必要はなく、ただ、卑屈にならずに自らを受け入れ、同様に他者を理解することがどれだけ重要で、どれだけ難しいことか。

このあとのデミの作品で描かれるのは、もっともっと小さなコミュニティでのマイノリティ。

同じ国籍、同じ人種、同じ家族のなかでさえも、生き方ひとつとっても皆同じではなく、考えの異なることがある。

それをどう受け止め、自分を持ちながら他者を認め、赦し、どう生きるのか。

改めて、素晴らしい作品を遺し続けてきた監督だったのだなと思いました。

トム・ハンクス、デンゼル・ワシントンの演技も素晴らしく、ふたりのキャリアをたしかにした作品としても重要な映画だと思います
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