みゆきち

フィラデルフィアのみゆきちのレビュー・感想・評価

フィラデルフィア(1993年製作の映画)
3.8
吹替版にて子供と初鑑賞。
トム・ハンクスが主人公を演じるが、彼がどんどん病気の進行と共に痩せていくのは見どころのひとつかな。

HIVウイルスに侵されAIDSを発症した弁護士が、ゲイとAIDSを理由に不当解雇される。しかし表向きは大きな仕事で失敗しそうになり事務所に損害を与えそうになったからというもっともらしい理由をつけられている。主人公の元弁護士は、元事務所を相手に不当解雇だと裁判を起こす。

かなり古い映画(93年)で、当時の世間のAIDS患者への知識はかなり粗いもの。図書館で個室を促されたり、同じ空間にいるだけで、または接触しただけでうつるのではと不安になったり。
また、そんな時代だから現在のようなLGBTに対する意識なんてもちろんながら微々たるもの。現在ほとんど使われないホモという言葉がバンバン使われ、法廷後のインタビューする記者もあなたはホモなんでしょ?なんて失礼にもほどがある質問を投げ掛け、街中では弁護を引き受けた弁護士にも「お前もホモだから引き受けたんだろう」等と平気で言われる。そして弁護士すら「俺がホモに見えるか?!」と怒る。このストーリー上では弁護する人も同性愛者(特にゲイ)への嫌悪感を持っているが、あくまで病気を理由にした不当解雇に対しての裁判なのでそこの問題は別のようで。

正直ずっと差別のオンパレードでちょっとしんどかった。
だけどこのストーリー上の裁判を通して、病気を理由に不当解雇の問題だけではなく、性の嗜好や病気への差別など皆の心の奥底に当然のように持っている意識や無知というものは罪であるということを問題提起しているように思える。
とても大事なことを扱った作品だと思う。
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