天豆てんまめ

イキガミの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

イキガミ(2008年製作の映画)
2.6
漫画原作を飛ばし読みしていたが、映画的な設定だと思う。

「国家繁栄維持法」という法律で1000人に1人が18歳から24歳まで
で肺動脈に埋め込まれたカプセルが破裂するという。
で、死亡予定日時の24時間前に連絡が来る。
「イキガミ」という通知で。

松田翔太はそれを宣告する公務員役。真面目な雰囲気が合わない。
いわば物語の司会進行役な感じで、彼の葛藤が迫ってこない。

イキガミが届いて、あと命が24時間となるのは、
仲たがいしたメンバーに会いに行くミュージシャン。
引きこもりの青年は自分を利用する母を復讐に。
盲目の妹に自らの角膜を移植しようとする兄。

この3挿話が主軸だけれど、3番目の山田孝之(兄)が成海璃子(妹)への
想いの部分がドラマとして立脚していて、後は弱い印象。

この兄妹のエピソードはいい。兄にイキガミが届いたことを知って、妹は一緒に死ぬ、手術は受けないと言うのだけど、松田翔太も規則違反して、
24時間経っても、山田孝之が亡くなっていないことを信じさせ
(1時間時間を誤らせる)彼女に手術を決意させる。

その時の、山田孝之の台詞が「ごめん。俺、ウソついてたわ。」と言う。
自分が死ぬことをやはり言ってしまうのかと思ったら、涙ながらに「おれ、そんなにイケメンじゃないんだ。」って呟く。ここがじわっとくる。

でも、スッキリして終わるタイプの映画ではないので、考えさせるという意味では良いのだが、サスペンスとヒューマンを共存させるのは難しいと改めて思う。