全編に渡って【映画美学校】臭がハンパではない作品。黒沢清絶頂期の…というか完全に北野武のパクリなのだが…何やら観ていてしっくり来ないホラー映画である。内容も不気味というよりは、滑稽で笑える。
この手の刑事ものとサイコホラーの融合という意味では画期的だったとは思う。デヴィッド・フィンチャーの『セブン』から『羊たちの沈黙』、さらには『絞殺魔』まで古今東西の映画を色々パクって作ってるミクスチャー感覚がある。
しかしこのような刑事アクションに観念的な「モノ」の導入はあまり頂けない。高橋洋のオーソドックスな脚本を当の黒沢清がぶち壊している印象も強い。Vシネの衣を纏ったシネフィルスプロイテーションという意図が透けて見えるのが如何にも黒沢清らしい。
あと助演の香川照之はこの頃はキレ味ある役者だったネ。