ヒノモト

蛇の道のヒノモトのネタバレレビュー・内容・結末

蛇の道(1998年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

「岸辺の旅」「スパイの妻」の黒沢清監督による1998年に手がけた同名映画をフランスに舞台を移してセルフリメイクした作品。
オリジナル版も配信で観直したので、両作品の感想を残しておきます。

娘を惨殺された男と、その復讐を手伝う新山という男(セルフリメイクでは女性)との依存的な関係と奇妙な道程を辿るお話。

(1998年オリジナル)
当時隆盛だったVシネマのフォーマットな作品でありながら、復讐劇のドロドロさよりも、運命の逆転や物語の輪転を利用して、復讐そのものの空虚さを語るような、フィルムノワール的な味わいがあり、シナリオの美しさが光る作品という印象でした。

物語の短さが快活に感じる部分と、淡泊に感じる部分があり、Vシネマのスピード撮影の影響もあると思いますが、若干雑に見えてしまう感覚も残りますが、荒唐無稽ないわゆるヤクザがらみのガンアクションに留まらない映画としての個性は強いです。

哀川翔X香川照之さんの名演に、柳ユーレイさんなどの配役の妙もあり、個々の配役が色濃く個性が発揮されていて、印象に残りやすいのもありました。

終盤の部分に触れますが、当時の都市伝説的なリアルな殺害を撮影したスナッフビデオの裏流通にまつわる展開になることと、数式や輪転の効果もあって、時世的な過激さと曖昧さが混ざり合って、独特な後味として残すことに成功していると感じました。

セルフリメイク版の感想に続きます。
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