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蛇の道のshxtpieのレビュー・感想・評価

蛇の道(1998年製作の映画)
3.0
当初は『復讐』の続編であり、『 CURE 』を挟んで、黒沢清にとって最後のVシネとなった2作のうちの1作。脚本は高橋洋。とはいえ、「反復するんだ」と語る高橋が書いたプロットは反復しすぎであり、もちろんねらってやっているのだけれど、見ていてちょっとつらいものがある。そしてまた、(この 19 年後に「クリーピー」に出演することになる)香川照之は「演技」のしすぎであり、黒沢の「演技」をさせない演出とは齟齬を生んでしまっている。身体的に不自由で、口がきけず、残忍なコメットさんの造形は、(衣装もふくめて)黒沢映画における幽霊のそれに近い。黒沢は女性をこうした怪物としてしかとらえることができないのは自明であり、「数学が大人以上にできる少女」もまた、幽霊であり怪物である。彼女の背後を電車が通り過ぎるショットの、なんと美しいことか。
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