このレビューはネタバレを含みます
戦死した英雄と間違えられる、記憶喪失の男の話。
赤狩りの対象になった男が記憶を失い、流れ着いた町の英雄に間違えられる…という前半部分は軽いコメディーとして楽しめました。
ヒロインとのロマンスも良かったし、ジム・キャリーが主人公を演じるのも親しみ易くて良かったんじゃないかな。
個人的に感心したのは、画作りの部分。
大勢のエキストラを映したり、大掛かりなセットを映したり、ファンタジックな演出があったりと、映画でしか見れないスペクタルな映像が要所要所に挟み込まれて、見応えがありましたね。
後半になると、主人公の記憶が戻り、聴聞会に召還されます。
町の英雄に勇気を貰い、戦死した若者達の想いを代弁する…という、やりたい事は分かるし、それ自体は良い話だと思うんですよ。
ただ、ハリウッドの赤狩りや下院非米活動委員会と言われても、なかなかピンと来ないものがあるし、ご都合主義的なオチも苦しいものがありました。
映画制作者として、当時の赤狩りに問題意識があるのは分かりますが、もっと普遍的な設定・舞台を用意した方が、より分り易く伝わった事でしょう。
フランク・ダラボン作品では初めて(唯一)のオリジナル作品という事で、やりたい事を詰め込み過ぎて、少し小難しい作品になってしまったのかなと。
彼のフィルモグラフィーを見る限り、原作がある方が向いている監督なのかもしれません。