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マジェスティックのhirogonのネタバレレビュー・内容・結末

マジェスティック(2001年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

「ショーシャンクの空に」のフランク・ダラボン監督作品。
コメディのイメージが強いジム・キャリーですが、こんな作品にもでていたんですね。
好きだなあ~、この映画の空気感というか雰囲気。

本作は、戦争で多くの若者を失った街ローソンの再生の物語であり、
また、街に存在したたった1件の映画館「マジェスティック」の再生の物語でもあり、
さらに、ピーター・アプルトン(ジム・キャリー)の再生と恋の物語でもあります。

上記の概要だけでワクワクしてきませんか?映画好きの心をくすぐる要素が詰まっています。
大好きな「ニューシネマパラダイス」と”映画館”という題材は似ていて、こちらも大好きな映画となりました。

~以下は完全にネタバレなので、これから鑑賞する予定の人は、鑑賞後に読んで頂けると有り難いです~


映画脚本家のピーター。ある日、非米活動委員会の調査会から学生時代の反戦活動のことで共産主義者のレッテルを貼られ、仕事からも当面遠ざけられることに。ちょっとヤケになって、お酒を飲んで車で帰宅する途中、事故を起こして車ごと川に落ちてしまいます。海辺に流れ着き、気がついた時には過去の記憶を失っていました。ピーターを見つけたおじいさんが自分たちの街ローソンに連れ帰ります。

ローソンの街では多くの若者たちが戦争にとられた上、亡くなった者も多く、まだ、その悲しみから抜け出せないでいた。しかし、ピーターを見かけたハリー・トリンブルが、ピーターが戦争で不明になっていたルーク・トリンブルだと言い出したのです。そっくりだったので間違われたようです。
ハリーがピーターを墓地に連れて行き、戦争で亡くなった若者たちのことと共にルークのことを話すシーンは、思わず涙が零れました。

記憶をなくしているピーターは、ハリーの息子ルークとしてローソンの街で暮らし始めます。そして、ルークには恋人のアデルがいて、二人は付き合い始めます。
ピーターは、ルークとしてあの戦争から生還し、街の新しい希望となったのです。

ピーターとアデルが岬のデートで、映画「ゾラの生涯」の話で盛り上がり、灯台で夕日をバックにいい雰囲気になる辺りは、ぐっと心を掴まれました。映像が美しく、キスに至る流れが何とも言えずいい。(キスする理由がくすっと笑えます)
アデルは弁護士を目指しているのですが、弁護士を目指した理由が街の映画館「マジェスティック」で見た「ゾラの生涯」だと説明します。(当然、「ゾラの生涯」にも興味湧いてしまいますねえ)

ハリーが映画館「マジェスティック」のオーナーだったのですが、戦争で客も減り、閉館していたのです。ルークが帰ってきたことで、「マジェスティック」の再開を考えます。
「マジェスティック」再オープンに向けては、街の多くの人が協力するのですが、その辺りの作業の様子はみんな楽しそうで、見ているこちらまでウキウキしてきます。そして、ついに再オープンにこぎ着けます。

街の人達がみんな愛おしくなってくる。何なんだろう、この感覚?
その辺が、この映画の空気感。

しかし、ついにピーターの記憶が戻る時がやってきます。自分が書いた脚本の映画がかかるのです。記憶が戻ったことをアデルに告げる場面が切ない。アデルは応えます「始めから分かっていたわ。でもルークだと信じたかった」と。
時を同じくして、ハリーが倒れ、ハリーはピーターをルークと信じたまま亡くなります。ある意味、幸せな最期でした。
しかし、同時に、非米活動委員会の調査会がピーターの居場所を見つけて、街にやってきます。街の新しい希望であったルークは、別人であったことが知れてしまいます。

委員会は、ピーターに委員会での証言を求めます。ピーターは街を去る決意を決め、アデルに別れを告げます。アデルはピーターにどの様な証言をするのか尋ねます。「弁護人の助言で、”共産主義者を辞める云々”のような通り一遍の証言をして終わり」というようなことを言うのですが、アデルが激しく反発します。「共産主義者ではないのに。ルークならそんな証言はしない!」と。
街を去る日、アデルのお父さんがアデルからピーターへの届け物を預かったと言って、小荷物を渡します。汽車の中で包みを開いてみると、それは合衆国憲法の本で、それもルークからアデルに贈られたものでした。中には、ルークが戦場で書いた手紙も挟まれていました。

そして委員会での証言の場面、、、これ以上書くのは野暮ですね。
ここからエンディングまでは、感動の波に包まれます!

実際に見た人、手を挙げて!(ここまで読んできている人は、鑑賞済みのはずですよね?)
どうでした?良かったでしょ(笑)


P.S.)この映画の感動を伝えるには、どうしてもストーリーの流れをある程度書くことしか出来ませんでした。思いっきりネタバレになってしまうのですが、今の私には精一杯です。
でも、書いていないサブストーリーも一杯ありますし、実際に見ないと感じ取れない部分も多々ありますので、間違って鑑賞前に上記を読んでしまった人も心配しなくてOKですよ(笑)
後、改めて映画の自分の好みを振り返ってみると、”法廷や委員会などで、主人公が真実・信念・正義などを訴える”ような内容にはめっぽう弱いようです。その手の映画にはちょっと甘めの評価になりがちなのでご了承下さい。
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