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フランケンシュタインの教授のレビュー・感想・評価

フランケンシュタイン(1931年製作の映画)
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1931年製作。モンスターホラーの原点であり古典であり、エポックメイキングな作品ではあるが、それらについては、ここでは割愛するとして。

もう90年以上も前の映画なのだが「それなりに」勝手知ったる物語でも引き込まれる部分があることに驚く。
本作を観たことはなくても、ストーリーの大体の流れは一般的に知ってはいても、主人公としてのフランケンシュタイン博士(コリン・クライヴ)の狂気じみた妄執は、面白い。
善人の脳みそと、犯罪者の脳みそだと、何が違うのか?という荒唐無稽な設定は、現代から見れば愛嬌として受け取っても、生命の創造を、死体を繋ぎ合わせて行うというグロテスクさは、見事にマッドサイエンティストを描くという意味で秀逸な設定。

また産み落とされた怪物(ボリス・カーロフ)の図体はデカく、腕力も強いが、知能が幼児程度。
この「産み落とされた」というところまでは情熱的でも「育てる」という概念がなく、実験材料として扱われ、忌み嫌われ、排除されていく様はとてもやりきれない。
何よりも、本意とは違って少女を殺してしまうシーンは現在でもショッキングに映る。

繰り返すように「古典」である点で、どうしても作劇や描写のリアリティは、当然ながら現代の映画とは違いがあり、観客側の体感として「古臭い」とは感じても、一方で普遍的な「異形の物語」という意味では、古びていないことは、はっきりとわかる。
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