イチロヲ

フランケンシュタインのイチロヲのレビュー・感想・評価

フランケンシュタイン(1931年製作の映画)
4.0
若い科学者によって生み出された人造人間が、自我の発達途上が引き金となり、殺人行為に手を染めてしまう。女流作家メアリー・シェリーの同名小説(1818年度)を映像化している、ゴシック・ホラー。

頭頂部が平らで、止め具が付いていて、電極が刺さっている、「フランケンシュタイン博士の怪物」のキャラクター像を最初に発明した作品。現在ではパロディ作品から、そのキャラクター像を知らされることがほとんどだが、本作が原典となる。

博士は「科学力で神秘を探究する」という理念を貫いており、変人扱いされることを承知の上で行動しているため、絶対悪というわけではない。また「永遠不変の人間を創る」というテーマ性には、キリスト教圏におけるタブーが含まれている。

一般大衆の憎悪を怪物に向けさせるための作劇に、ご都合主義的な飛躍が見られるが、怪物役を演じているボリス・カーロフの佇まいには、ただただ感服するばかり。ちなみに「フランケンシュタイン」は科学者の名前であり、怪物の名前ではない。
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