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レイジング・ブルのSIのレビュー・感想・評価

レイジング・ブル(1980年製作の映画)
5.0
2021.8.12
自宅TVにて鑑賞

1940年代。将来有望なボクサーは、頑固かつ短気、猜疑心の強い自身の性格に苦しみながらも、マネージャーである弟と固い絆で結ばれ、ライバルとの死闘、八百長による出場停止、激しい減量を乗り越え世界チャンピオンまで上り詰める。しかし新妻の不貞への猜疑心が病的となり、弟も妻も失い、ライバルに王座を奪われ落ちぶれていってしまう。

傑作。
実在のプロボクサー、ジェイク・ラモッタの一代記。
スコセッシ×ロバートデニーロ。
人間味が深すぎる、愛すべき男。この男は一体どうなってしまうのか、というヒキだけで観させてしまうキャラクター像。

モノクロでやっとわかったが、スコセッシがべらぼうに上手い。
ヒロイン(キャシーモリアーティ)との初デートのゲートボールシーン。
無くなってしまったボールを探そうと屈むヒロインを後ろから映し、ゆっくりトラックアップして、彼女がおもむろに振り向いてニコリと笑う笑顔をとらえる。このカットだけで、主人公がヒロインに恋をするのも無理はないと思わせる説得力。
奥行きを映すテンポ感、洗練された構図。ボクシングシーンでは、ド派手に吹き上がる血しぶきによるヌケ。天才。

ロバートデニーロの年齢・体重が自由自在の役作りも素晴らしいが、あの裏表のない半開きの笑顔が良い。あれだけで愛すべきキャラクターになってしまう。
弟役のジョーペシも、上手かった。狂人と化していく兄に接する時の、信頼と不信のせめぎ合いが非常に上手く表現されている。重心が低く、昔の人なんだなと思わせるのも流石。

また観直したい、大好きな作品になりました。
ボクシングジム、本当にこういう人間臭い人多い気がします。
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