◆あらすじ◆
1941年、ミドル級ボクサーのジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロ)は大手プロモーターの協力を拒絶し、自分の力のみでのし上がろうとして弟のジョーイとともに試合に臨んでいた。ある日、ビッキーという女性に惹かれたジェイクは妻帯者の身ながら彼女を口説き落とす。しかし、ジェイクの疑り深い性格はビッキーへの猜疑心へと変わり、やがてジェイクの人生を破滅に追い込んでいく。
◆感想◆
本作は実在のプロボクサーの自伝を映画化したものであり、ボクサーとして活躍中の鍛えられた肉体と引退後の落ちぶれた肥満体型という2つの体型をロバート・デ・ニーロが作りこんでいてこれ以上ない説得力を生んでいました。
ジェイクはミドル級のプロボクサーとして強い選手でしたが、異常なくらい短気で疑り深い性格をしていて、実の弟に対しても心を開かず、社交辞令も通じないかなり精神的に歪な人物のように感じました。特に妻に対しても暴力で言うことを聞かせようとする部分もあって、観ていてもジェイクを応援したい気にならず、全く感情移入しませんでした。
ジェイクは弟のジョーイ(ジョー・ペシ)をマネージャーにプロボクサーとして活躍していましたが、大手プロモーターのトミーの介入を拒んでいて、そのためか不可解な判定負けを何度もします。この点はジェイクがとても可哀そうでしたが、ジェイクは王者になるためにやむを得ず手を組み、八百長試合を受けて、その見返りに王者への挑戦権を手に入れます。
試合のシーンは前述のとおり、ジェイクの引き締まった肉体から繰り出されるパンチの連打がとてもカッコ良くて、映像として見ごたえがありました。やはりボクシングをテーマにした作品では試合のシーンのクオリティがとても大事だと思いますし、本作はとても良くできていたと思います。
私生活の面ではジェイクは妻帯者でありながら、15歳の少女のビッキー(キャシー・モリアーティ)に心を惹かれ、交際を始めます。2人は結婚に至るのですが、そこからジェイクの独占欲が顔を出してきて、ビッキーの行動の一つ一つに他の男性への好意を疑い始めます。これが本当に異常で観ていて気持ち悪かった。ジェイクは一度疑い始めると周囲の人間まで巻き込んで、ビッキーの行動を勘ぐり始め、その結果、ビッキーもジョーイも愛想を尽かします。当然の結果だと思いました。
引退後は元々大食漢だったのかジェイクは太ってボクサーだった頃の面影が全く無くなっていて、妙に惨めさを感じさせる姿でした。
ロバート・デ・ニーロの役作りの凄さを十分に味わえる作品であるとともに、ジェイクという人物の特異性がよく分かる作品となっていて、面白い作品でした。但し、ジェイクとは友達にはなりたくないかな。
鑑賞日:2025年3月23日
鑑賞方法:Amazon Prime Video