ジャッキーケン

レイジング・ブルのジャッキーケンのレビュー・感想・評価

レイジング・ブル(1980年製作の映画)
3.8
怒れる猛牛の怒れる半生

映画好きが惚れる映画監督マーティンスコセッシが描くボクシング映画

「ロッキー」シリーズや王道のボクシング映画とは違った視点で描いたボクシング映画

芽が出ないボクサーが大物ボクサーと戦う機会を得てひたすらトレーニングし王者に挑むこれが従来のボクシング映画なのだと思うのだが本作はデニーロ演じるジェイクラモッタの半生を描いたドラマだ

従来のボクシング映画のようなスポ根要素はあまり感じられない
試合シーンは淡々としている
ジェイクラモッタは元々めちゃ強い設定だからかピンチになることもほとんどない
そんなラモッタが陥るピンチは八百長、妻との嫌悪関係、短気が災いし実生活が悪い方向に転がる
現実こそジェイクラモッタのライバルであるのだと思う

本作はデニーロの怪演が素晴らしい、年齢と時期に応じて肉体変化するデニーロの徹底的に役に入り込む姿勢は改めて驚かされる
弟のジョーペシは本物の弟なんじゃないかと勘違いするくらい相性抜群
「リーサルウェポン」の弄られキャラが好きなだけに「グッドフェローズ」や本作、スコセッシ映画のジョーペシはただただ怖い印象だ。ふとした時に頭の血管がキレ襲いかかるこいつに関わったら絶対ヤバい感が最高

夢への挑戦、栄光、堕落、キャリア後の人生
「ロッキー」みたいな華々しさはないただひたすら泥臭く、どん底を生きた男の半生

こういうボクシング映画があっても良い